2006.07.30

このごろアニメで妄想できないんです

タイトルを見て「ついに発狂したか」とか思わないでください。これは切実な問題なんです。近ごろのぼくには、夢中になれるオタク作品がないんです。四六時中そのことばかりを考えていられるほど萌えられるキャラクターがいないんです。

思い返せば、大学3年あたりからそうだったのかもしれません。マンガを読んでも「おもしろいなー」と思うだけで、アニメを見ても「んーまあまあかな」で感動もできず、美少女ゲームに手をつけても「あーおもしろかった」で終わってしまう、そんな冷めたオタクになっていました。

でも、本当は違うじゃないですか。

もっと夢中になれるものだったじゃないですか、マンガとかアニメとかゲームって。その作品が好きで好きで、その作品のことが頭から離れなくて、学校に行っても、授業を聞くフリしながらアニメのカッコよかったシーンを頭のなかで繰り返して、休み時間には友だちと「あのキャラクターいいよな」って語り合えて、家に帰れば、とっくに読み終わったはずのマンガを何度も何度も読み返しながら、「このキャラクターってどんな私生活を送ってるんだろう」「もしこいつが味方になったらどんな展開になるだろう」「最終回のあと、物語はどうなるんだろう」って妄想しまくって、勢い余って関連グッズを買っちゃったり、同人誌を買っちゃったり、果ては自分で同人誌を書いちゃったりするような、そんな魅力があったはずじゃないですか。

(ここらへんで「キモスw」とか思った人、遠慮しないで「戻る」ボタンを押していいですよ)

熱くなりすぎたので、もうちょっと冷静に説明しましょう。どんな作品にも終わりはやってきます。マンガなら最終回、アニメなら最終話、ゲームならクリアの時点で物語は終わってしまいますね。小学生のころのぼくは、そういう「物語の終わり」に出会うたびに、「これで本当に終わり? この続きはないの?」とひたすら疑問に思っていました。もちろん、続編が出ないかぎり、物語はそこで終わりです。

でも、それってすごく寂しいですよね?

だから、せめて、閉じてしまった物語についてああだこうだと友達と語りたいとか、公式なものじゃなくていいから物語の続きを読みたいとか、同じ世界観を使ったサイドストーリーが読みたいとか、あるいはもう自分で創ってしまいたい、という欲望が出てきます。ぼくが思うに、これがオタクの妄想力の源泉です。

(なお、わかりやすくするために「最終回」を軸に説明しましたが、べつに作品が最終回を迎えている必要はありません。要は「勝手に妄想する余地がある」ことです)

具体的な妄想例としては、「このキャラとこのキャラをくっつけてみました」「作中では省略されていた3日間を描いてみました」「冒険中のこういう事件を考えてみました」「普段クールなキャラのやさしい面を想像してみました」「エンディングの後はこういう展開になっているだろうと勝手に予想してみました」などなど。あらゆるタイプのアナザーストーリーをオタクは妄想します。

そして、そういう妄想はおそろしく楽しいんです。もう、このブログを見てる全員にドン引きされるの覚悟で言いましょう。ぼくはそういう妄想をしてる時間が人生でいちばんイキイキしてるって断言できるね! 間違いなく!

だからこそ、冒頭で書いたように、夢中になれる作品がないことがぼくには苦痛です。本当は、好きな作品やキャラクターをダシにして一日中妄想したいんです。大学2年ぐらいまではそれができていたんです。お願いですから、あのころの少年の心を取り戻したいんです。

あぁーッ! オタク分が足りねぇーッ!

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2006.01.20

田村ゆかりと申したか

告白しましょう。ブログを読み返していただければわかるように、ぼくはきっと救いようのないダメオタなのですが、実をいうと、オタク的教養のなかにも、一つだけ苦手分野があります。それは「声優」です。アニメのキャラクターに誰が声を当てているかなど、ぼくは全くわかりませんし、声優さんの名前もほとんど知りません。

なので、かっつさんからもえたんのリスニングCDについて、「声優の田村ゆかりが凄いから! 本当に萌えるから!」と狂おしいほどに熱弁されたときも、ぼくは正直、「田村ゆかりって誰だよ。そんなオタクっぽい声優さんシラネーヨ」としか思えませんでした。自分のオタクっぷりを棚に上げて本当にすみません。

そして翌日。久しぶりに時代錯誤社に顔を出して、買ったばかりのもえたんCDを聴きながら癒されていたところ、社内一のイケメン・恣意茸君にこう言われてしまいました。

「その声は田村ゆかりですね」

キミ、かっこいい顔とただれたセリフが全然合ってないよ、と脊髄反射でツッコミを入れかけましたが、彼がそのまま「こっちの声は小野坂昌也ですね。もう一人は……あぁ、うえだゆうじか」などと正確極まりない独り言を続けたため、ツッコミを入れたら負けだと思い、とりあえず放置することにしました。

その後、スーツを着込んだマジメなあいびき君が現れたので、先刻のあらましを説明し、「声を聴いただけで田村ゆかりだってわかるなんて変だよね」と同意を求めたところ、

「いや、田村ゆかりはわかりますよ。独特のロリ声ですから」

と一蹴されてしまいました。ブルータス、お前もか! 気分はもうカエサルですよ。やっぱりこのサークルはもうダメだな……。

追記:
もえたんのリスニングCDそのものは素晴らしい仕上がりでした。センター試験とかには全く役に立たないこと請け合いですが、ドラマCDとしてたっぷり楽しめます。

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2006.01.13

オタクは関係ねえだろオタクは!

卒論から解放された勢いでアフタヌーン最新号の『げんしけん』を立ち読みしたところ、笹原と荻上があまりにもほほえましく青春やってたので、ページをめくりながらニヤニヤニヤニヤほくそ笑んでしまいました。しかもよく考えると、今号の話なんてオタクとほとんど関係ないじゃないですか。なのにおもしろさ急上昇中ってのはどういうことですか。木尾士目さん、おそるべし。早く次号出ろ。

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2005.11.25

すいませんねぇダメオタで

かっつさんとの秋葉原巡りで心に残ったプロモーションムービーが、作者さんのサイトで公開されているのを発見してしまいました(リンク先でいちばん上の「Not Satisfied」というタイトルです)。「東方萃夢想」という格闘ゲームの連続技ムービーなのですが、格闘ゲームとか連続技とか、そういう次元を超えてカコイイです。まぢに。行書体の漢字の差しはさみ方とか、畳みかけるような梵字の魅せ方とか、まさしく「東方」の名にふさわしい傑作。わずか1分30秒の映像に見事、世界を閉じこめています。この祝祭的興奮! 吹きだす鼻血で顔を洗えッ!

(とは言っても、オタクに理解のある方でないと楽しめないかも知れません。鼻血が出なくても文句は言わないでください)

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2005.11.16

秋の夜長に狂ったホラーを

見つけてしまいました。ホラーゲーム「TheHOUSE」。怖い。とにかく怖い。プレイした経験者として忠告しましょう。これはやっちゃだめです。いいですか。絶対にやらないでくださいね。夜のトイレに行けなくなるどころか、視界の外がぜんぶ怖くなって顔すら動かせなくなります。後生ですから、やらないでください。とくに、「へえー。そんなに怖いなら、夜中に電気消してヘッドホンでやってみよっと」なんて思ってる無謀なお兄さん、ダメ、絶対! 死ぬから!

ここまで読んで、それでもやってみたいという怖いもの知らずな方のみ、上のリンクから飛んでください。繰り返しますが、その後のことは、ぼくは一切関知しません。健闘を祈ります。

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2005.09.26

今さらだけどFFVII

いつのまにか『ファイナルファンタジーVII アルティマニア・オメガ』なんてものが発売されていたようで、びっくり。さっそく本屋さんで入手しようと思ったら、行くところ見るところ、あらゆる書店で売り切れてやがる。うう、くやしい。

なんて書いたけど、実を言うと、少しだけうれしい。どこに行っても売り切れてるってことは、つまり、ぼく以外にもたくさんの人が(もしかしたらぼくと同じように必死で探して)買っていったってことだろうから。発売当初からずっと好きだった作品が、大量消費されるゲームソフトの一つとして忘れ去られていくことなく、こういうファンブックや続編DVDになって再び話題になっているのを見ると、ああ、そうか、この作品は10年近い月日が経ってもまだ、これだけたくさんの人に愛されているんだな、と想像がはたらいて、ちょっとうれしくなる。ま、初版の部数が少ないからってのもあるんだろうけど。

いずれにせよ、早く採点バイトの無間地獄から抜け出して、内定式のTOEICを切り抜け、10月4日までに卒論の原案を完成させねば、ファンブックを読むヒマもDVDを見るヒマもない。ちくしょう! 誰だよ、ナマケモノのおれをこんなに働かせようってやつらは! 解答:東進の上司さま、日立製作所の人事さま、および宗教学科の教授さま。すみません誰にも逆らえませんごめんなさい許してください。

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2005.07.07

オレのオタク度は何センチだ!?

全国統一オタク検定試験が実施されるって? やるしかねぇな、こりゃ。人生ではじめて受ける資格試験がオタ検……これぞまさに男の本懐ではないか。満点を取るつもりで行かせてもらう。

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2005.06.19

そうだ、ガンダムつくろう!

すでにネットの各地で熱い議論が交わされてるけど、ランドウォーカーとか、1/1スコープドックとか、三菱重工のガンダム開発ネタなんかを見るかぎり、モビルスーツが作れちゃうのってそう遠い未来のことではない気がする。つーか、三菱重工とバンダイが本気になったらマジで作れちゃいそうだから恐い。

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2005.05.16

アニメと特撮はダメオタの基本だ!

日曜は珍しく早起きしたので、テレビ朝日の特撮とアニメを1時間半くらい見て過ごした。ちなみに見たのは、「魔法戦隊マジレンジャー」「仮面ライダー響鬼」「ふたりはプリキュア・マックスハート」の3番組。このごろオタクっぽいことを書いていないので、そろそろ本流に戻す意味でも、何か書いておきますか。

■魔法戦隊マジレンジャー(朝7:30〜8:00)

延々と続いている戦隊モノの最新版で、これが29代目になるらしい。ってことは、初代ゴレンジャーを見ていた世代はもう30代後半にさしかかろうって頃か。すごいな、純粋に。斉藤美奈子さんの言う「おもちゃ屋さんと同盟をむすんでいるので異常に軍拡志向」な傾向も、ぼくの子どものころと変わってない。あな、なつかしや。

肝心のストーリーは、少年ジャンプ的にわかりやすくて素晴らしい。いや、皮肉じゃなくて、本当におもしろいってこと。参考までに、今日のストーリーをかんたんに要約すると「格闘戦が得意だったキレンジャーがケガをしてしまったので、代わりにアカレンジャーが猛特訓して、格闘戦でしか倒せない敵をふっとばす」という黄金パターン。友情・努力・勝利がぜんぶ入っている上に、大切なデートを捨てて猛特訓するという「友情は恋愛より重い」の法則もしっかり守っている。いいねえ。男の子向けはこうでなくちゃ。

CGも「抑えるところ」と「魅せるところ」をしっかり分けて、効果的に使ってる。とくにラスト、アカレンジャーと敵のコブシがぶつかりあうシーンは本当に上手い。そこまでの戦闘で苦戦して、ボッコボコにされて吹っ飛ばされて、もうダメだと諦めかけたところでキレンジャーの友情パワーをもらい、最後の最後で大ミエを切って爆発CGつきの大逆転パンチを放つ。ぶっちゃけ燃えるよこれ。監督さんも脚本さんも演出さんも、本当によくわかってらっしゃる。水戸黄門並みの「きたきたきたぁ!」っていうお約束どおりのカタルシスも、ここまで来ると芸術の域だな。

ただ、そこで「マジパンチ!」と叫ぶのは……どうなんだろう? いや、これは大人の視点からバカにしてるわけじゃなくて、小学校低学年くらいの子でも、さすがに「マジパンチ!」は安直すぎてカッコ悪いと思ってんじゃないかなぁってこと。だからって代替案があるわけじゃないんだけどさ。「マジレンジャーの必殺パンチ」なら「マジパンチ」が一番しっくり来るし。うん。そうなんだけど、でも、なんか納得できねー。

■仮面ライダー響鬼(朝8:00〜8:30)

「響鬼」と書いて「ひびき」と読むんだと。このごろの仮面ライダーはストーリーがシリアスすぎてお子さま向けじゃないと噂には聞いていたけど、たしかに、全くお子さま向けじゃない。っていうか、途中から見ると大きいお友達でも、それぞれの話を貫く全体的なストーリーがよくわからない。当然、ぼくもわからなかった。

ちなみに、今回のストーリーはこんな感じ。「師匠ライダーが引退せざるを得なくなったので、弟子ライダーに武器(雷を放つギター)を渡して免許皆伝させようとする。弟子ライダーは師匠離れができずに悩むが、最後には迷いをふっきり、雷ギターを自分なりに上手く使って怪物をぶったおす」。

結論から言うと、あんまりおもしろくない。この番組、ずーっと物静かで、映像はきれいだし、セリフもわざとらしくないし、渋い演出に凝りたいのはわかるんだけど、そのせいで「マジレンジャー」みたいなストーリーの勢いとか、アクションでのミエの切り方とかを犠牲にしすぎてる。これ、ドキュメンタリーでもトレンディドラマでもなく、アクションヒーローものでしょ? だったらアクションと、それにつながるストーリーで魅せてもらわなきゃ。

これは別に、ヒーローものは「マジレンジャー」みたいに勧善懲悪じゃないとダメってことではない。別に「善 vs 悪」にこだわる必要はなくて、「正義 vs 正義」でも「無価値 vs 無価値」でも、おもしろい物語はつくれるだろう。というか、ぼくは番組の開始5分ぐらい、哀愁ただようアクションシーンが続くのを見て、敵にもこっちと戦う理由がある「正義 vs 正義」のパターンなのか、あるいはお互いに無意味さを理解しているけれど構造的に戦いをやめられない「無価値 vs 無価値」のパターンなのか、そのあたりなのかと思ってたら、おいおい、終わってみたら全然フツーに「善 vs 悪」のパターンかよ。

だったら勧善懲悪のストーリーをしっかり見せてくれよ。アクションで魅せてくれよ。あるいは、ドラマ(葛藤)やビルドゥングス・ロマン(主人公の成長)の要素でストーリーを引っぱりたいんなら、もっと前面に出してもらわなきゃ燃えられないよ。監督さん、脚本さんは、絶世の名作「クレヨンしんちゃん モーレツ!オトナ帝国の逆襲」を5回鑑賞して勉強しなおしてください。ん? ああ、念のため、ぼくはすでに6回見てます。

■ふたりはプリキュア・マックスハート(朝8:30〜9:00)

おもしろい。『ケロロ軍曹』といい、この作品といい、近ごろのアニメには「イロモノっぽいタイトルほど、実は正統派のおもしろさを備えている」という法則でも働いているんだろうか。もちろん噂どおり、オープニングの歌は神がかり的に電波がかってる(「プリキュア プリキュア プリティでキュアキュア」ってどういう意味だよマジでわかんねーよ)けど、それがおもしろいという人もいるらしいので、世のなか捨てたものではない。

今回のストーリーは、要約するとこう。「中学1年の女の子が3人でフリーマーケットへ買い物に行ったら、そこで憧れの女子先輩2人(=主人公の2人)に出くわしたので、先輩2人の力を借りて、高校生の男チームに3 on 3のバスケットで挑むことになった。茶髪の先輩のすごい運動神経と、黒髪の先輩の冴えわたる知略で、女の子3人のチームは善戦し、後輩たちは改めて先輩に憧れ直して、楽しい時間を過ごしましたとさ」。

省略してしまったけど、本当は、先輩2人(=主人公の2人)のあいだの信頼関係が描かれたり、後輩のうち1人が他の2人と仲良くなったり、といった、細かいけどストーリーを引き立てる要素がたくさん含まれていたので、話に奥行きがあった。

あえて分類するなら、男の子向けの作品が「いかに燃える非日常ストーリーをつくるか」に腐心しているのに対して、こっちは「何でもない日常をいかに上手く描くか」という逆路線をとって成功している、と思う。終盤で取ってつけたように敵が出てきて、主人公たちも猛スピードで変身してエネルギー波を撃ち合っていたのは、番組の都合上、不問に付すとしても。総合的に見ると、やっぱりおもしろい。意外とおすすめ。

ちなみに、このアニメを見たら、主人公2人のうち、黒いほうと白いほうのどっちが好きかを告白して派閥争いをしなければならない、らしいのですが、ぶっちゃけわからない。いや、甲乙つけがたいって意味じゃなくて、白だの黒だのという区別がよくわからんのです。髪が黒いほうが黒でいいの? それとも、変身後のコスチュームが黒いほうが黒?

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2005.01.06

オタクなだけが『げんしけん』?

このごろ人気のある『げんしけん』(木尾士目・講談社)という漫画について少し、GREEのレビューに書いたことと重なるけど、書いておきたい。

ぼくが思うに、『げんしけん』は「オタクを描いた作品」だということを、宣伝でも口コミでも、過剰に強調されている気がする。いや、たしかに『げんしけん』はオタクを描いているし、それが作品の中核にもなっていることは誰が見ても明らかだし、広告戦略としても、作中のオタク要素をある種の異文化として強調して、一般人の興味を引きつけることはすごく効果的だろう。けど、ぼくはそれ以上に、あの作品のおもしろさを支えているのは「日常を描く上手さ」であるように思えてならない。

だって『げんしけん』ってのは、内容を言ってしまうと、オタクな大学生たちがオタクなサークル「げんしけん」に寄り集まって、まんがにアニメにゲームに同人誌にと、オタクなことをあれやこれやと話しながら、そのときどきに起こる同人イベントとか、学園祭とか、サークル内での恋愛話とか、そういった当たり前の日常を泣いたり笑ったりしながら過ごしていく話、ということに尽きてしまう。

さて、これのどこがおもしろいのか。なるほど、オタク文化を描いているという点は、一般読者にとっても当のオタクにとっても、おもしろいかもしれない。でも、それだけ? オタク要素さえ入っていれば『げんしけん』はおもしろいの?

実際に読んだことがある人なら、きっと「違う」と答えるはずだ。おもしろい、けど、そのおもしろさを他人にどう伝えたらいいのかわからない、そして、オタク要素だけがおもしろいわけでもない、よくわからないおもしろさがある。というのが、この漫画を読んだ人のおそらく過半数がいだく感想だろう。

売れる少年漫画によくある、一時的に非日常をつくりだして派手にストーリーを展開するようなベタな作品でもないし、かといって、売れない青年漫画によくある、シュールな実験作品を気どってクソつまんねぇ話を描きつづける自己満足な作品でもない。日常を描いていてるのにおもしろくて、それでいてストーリーそのものが派手なわけじゃないし、実験作品といえばそうなんだけど、シュールなだけに留まっていない、読者を惹きつける力もしっかりもっている。

なんて、さらっと説明してしまったけど、これはきっと、尋常じゃなく難しいことだ。小説でも漫画でも、なにか物語を書いたことがある人ならわかるだろう。「なんでもない日常をおもしろく描く」ということが、どれほどの神業であることか。作者の木尾士目さんは、オタク要素の助けを借りながらではあるけれども、キャラクターの心理を丹念にかたどりながら、ラブコメ風味のスパイスも混ぜることで、大学生たちが織りなす「おもしろい日常」をきっちりとつくりあげている。さらに、背景や小道具も手を抜かずに描かれているので、やたらとリアリティーもある。

あっそ、だからなに、と言われてしまえばそれまで。だけど、この書評が少しでも琴線にひっかかったのなら、ぜひ読んでみてほしい。たぶん、あなたの期待は裏切らない。

最後に。この作品を紹介してくださったfunatoさんに感謝。

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